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"スポーツ栄養コラム" 「パフォーマンスを高める食事の<摂り方>」後編②食べ物の消化と吸収

2015-10-09

"スポーツ栄養コラム" 「パフォーマンスを高める食事の<摂り方>」後編②食べ物の消化と吸収

 

6.「吐くまで食べろ」は正しい?


たくさん動いているスポーツ選手は、トレーニングで消費したエネルギーを補うためにも食事の必要量が増えてしまいます。

身体を大きくしたいと思っている選手は、さらに多くの食事が必要となります。

このような理由から、スポーツの現場では「吐くまで食べろ」と指導することがあります。

もちろん、本当に吐くまで食べて欲しいと思っているわけではなく、「そのぐらいの気持ちでたくさん食べろよ」ということだとは思いますが、実際に吐いてしまう選手もいるようです。

しかし、果たしてこのような食事の摂り方は正しいと言えるのでしょうか?

 7.消化・吸収までを意識する


食べ物は、口に入れた分だけ組織や身体の成分になるわけではありません。

体内に「吸収」されることで、初めてその効果が発揮されます。

そして、吸収されるためには食べ物がよく「消化」される必要があります。

つまり、ただ多くの量を摂るだけではなく、消化・吸収までを意識した食べ方が重要なのです。

 8.消化吸収力の低下を示す3つの「サイン」


消化吸収力が低下すると、身体に何らかの異変が出てきます。

以下のような症状が出ている場合は、体の消化吸収力が落ちているサインかもしれません。

(1)下痢

たくさんの量を一度に食べることで食べ物の腸の通過速度が上がり、大腸での水分吸収が不十分になると、下痢になることがあります。

(2)食べたものが便の中にそのまま残っていることがある

食べ物をよく噛まずに食べた場合,消化吸収が十分にできずに便の中にそのまま出てくることがあります。

(3)たくさん食べているのに体重が増えない

通常であれば、たくさんの量を食べることで体重が増えます。

食事量を増やした割には体重が増えていない場合、腸管での吸収力が低下している可能性があります。

 9.消化吸収を高める食べ方


身体の異変は、食事の摂り方を変えることで改善される場合があります。

以下に挙げる食べ方を実践してみることで、消化吸収を高めましょう。

(1)よく噛んで食べる

食べ物の消化は口の中での「噛む」という行為から始まっています(これを「機械的消化」といいます)。

できるだけ噛んで食べ物を細分化したほうが、栄養素は吸収されやすくなります。

また、唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれていますが、噛む量の少ない人はアミラーゼによる消化が不十分になります。

「食べるのが速い」と言われる人は、一口ずつ、ゆっくりと噛むことを意識してみましょう。

(2)少量ずつ食べる

口の中で噛んで飲み込まれた食べ物は食道を通って胃に送られ、胃や小腸の中で分泌される消化酵素によってゆっくりと消化、吸収されます(機械的消化に対し、「化学的消化」といいます)。

胃の中で一度に消化できる量には限界があるため、一度にたくさんの食事が入ってくると消化されないまま腸に送られてしまい、栄養素の吸収が不十分になります。

一度に食べる量は1~1.5人前程度にとどめるのが理想的です。

それ以上の摂取が必要な場合は、徐々に食事量を増やしたり、食事回数を増やしたりすることで対応しましょう。

(3)食事の直後は運動を控える

食事直後の運動は、胃の働きが悪くなるため消化吸収の妨げとなります。

また、激しい運動をすることで嘔吐してしまう危険があります。

食べたものを嘔吐してしまった場合、食べ物が腸まで到達していないため、ほとんど吸収できていない状態となります。

食事後には、消化吸収のための時間が最低1~2時間ほど必要です。

部活などで食後の時間があまり取れない場合は練習メニューを工夫しましょう。

食後はミーティングや座学の時間に使ったり、ストレッチやインナーマッスルトレーニングなど負担の少ない練習を取り入れたりすることで、消化吸収を円滑に行うことができます。




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