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"スポーツ栄養コラム" 「トレーニングメニューのプログラミングで変わる身体づくりの効果」

2015-10-16

"スポーツ栄養コラム" 「トレーニングメニューのプログラミングで変わる身体づくりの効果」

1.変化に合わせた栄養摂取が大切


アスリートは、日々激しいトレーニングを行っています。それに伴う身体の活発な動きは、

・身体のホルモンの分泌状態

・エネルギーの供給状態

・筋肉の合成機能

など、様々な生理機能を大きく変化させます。

第1回のコラムでお伝えしたように、身体能力を向上させるには、この変化のタイミングに合わせた栄養摂取が大切です。

さらに、トレーニングによる生理機能の変化は、トレーニングメニューの内容や順序によって変化することが最近明らかになってきました。

 2.運動様式の違いと筋肉の合成反応


運動は、大きく以下の2つに分けられます。

①持久運動

②レジスタンス運動(筋力トレーニング)

持久運動はその名のとおり持久的な運動能力を高めます。

身体づくりの面においては、身体の異化反応(筋たんぱく質の分解)を高める運動様式であることが知られています。

異化反応とは、簡単に言うと筋肉など身体の組織の分解が高まっている状態を指します。

持久運動を行うとたくさんのエネルギーが必要になるため、体脂肪を分解しながらエネルギーをつくります。

しかし、同時に筋肉も分解しながらエネルギーを作り出しているのです。

一方、レジスタンス運動は、身体の同化反応(筋たんぱく質の合成)を高める運動様式です。

同化反応とは、簡単に言うと筋肉など身体の組織の合成が高まっている状態を指します。

すなわち、トレーニングメニューの内容が持久運動に偏ると、身体の異化反応が大きくなってしまい、筋肉を増やすことが目的である場合には、その効果を得ることが非常に難しくなります。

競技によってどちらの要素の運動が多く含まれているかは変わりますが、球技スポーツで日常的に実施される技術練習のメニューは、持久的な要素が強い傾向があります。

したがって、技術練習のみの練習では身体の異化反応が大きく、運動後にたんぱく質を摂取したとしてもその効果は弱いと考えられるため、身体づくりを目的としたトレーニングプログラムとして理想的であるとは言えません。

 3.練習プログラムを見直して、効果を最大限に高める


球技スポーツでは、練習メニューの大半を技術練習が占めています。

しかし、いくら持久運動が身体づくりにマイナスの影響を及ぼすとしても、技術が競技パフォーマンスに直結する球技スポーツにおいては、技術練習を減らすことはできません。

そこで、技術練習の後にレジスタンストレーニングのメニューを組み込み、さらにその後にたんぱく質を含んだ補食や食事、サプリメント等を摂取することで、同化反応が高まり筋力の増加に繋がります(図1)。

図1.運動との関係におけるたんぱく質の摂取タイミング

下村吉治(2010)スポーツと健康の栄養学

ちなみに、この運動順序が逆になると(レジスタンス運動→持久運動)、筋肉の合成反応は抑制されることも分かってきました(図2)。

図2.運動順序と運動後の筋たんぱく質合成

Ogasawara R,et al.(2014)The order of concurrent endurance and resistance exercise modifies mTOR signaling and protein synthesis in rat skeletal muscle.Am J Physiol Endocrinol Metab 306(10):E1155-62.

このように、トレーニングの内容や順序は身体づくりの効果に大きな影響を及ぼします。

みなさんが普段行っている練習メニューは、目的にあったトレーニング内容になっていますか?

栄養摂取の効果を最大限に高めるためにも、トレーニングの強度や頻度だけではなく、順序によって効果が変わってくることを頭に入れ、練習メニューを考えていきましょう。

【参考文献】
Baar K(2014)Using molecular biology to maximize concurrent training.Sports Medicine 44(2):117-125.
Perez-Schindler J,et al.(2015)Nutritional strategies to support concurrent training.European journal of sport science 15(1):41-52.



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